epilogue:
妻を前にして、将軍がことの次第を告げる。
「私に依存はございません。ですが・・・あんなに可愛がっていた貴方が、よくご承知に」
「・・・・・私だって、まだまだ嫁にはやらんと思っていたさ」
苦虫を噛んだような将軍の姿に、妻は首を傾げる。
「は親の決めた縁談に口答えする娘じゃありませんが・・・承知はしてますの?」
「娘の気持ちは年を追うごとに分からなくなってきたが、そこだけは知っているんだ。
はずっと一途に好きでいたようだった。・・・・・・承知するさ」
そんな将軍の様子に、妻が微笑む。
「子離れの時期ですよ」
「ふん。・・・・・ああまでされて望まれたなら、大事にするだろうと思っただけだ」
あの夜の出来事。
証人はたくさんいる。
最初は他愛ない掛け金をかけあってのカードゲーム。
ロイといい勝負をしていて、つい熱がはいった。
「このままでは埒があきませんね」
「いい勝負が続いているが、最終的に君を負かしてみせるよ。マスタング君」
そんな将軍の言葉に、ふっと、彼が笑った。
「では賭けの内容を変えましょうか」
「いいね。お互いがより真剣に、勝敗を意識できるものに?」
「もちろん」
金だけなら際限なく続けてしまう。
そう思って、将軍も提案に乗った。
「将軍には、お嬢さんがひとりおられましたね」
「私と息子に甘やかされた妹娘がいるが、それが?」
「彼女を、私の妻に下さい」
「な・・・・なんだとっ!?」
「代わりに、私はこれで」
取り出した拳銃。
6発の弾を取り出して、1つだけ戻す。
ロシアンルーレットだとすると、確立は1/6・・・。
「な・・・・何を・・・」
「はじめますよ」
混乱したままの将軍を置き去りに、ゲームが始まる。
あわあわとしているうちに、あっけなくロイは負けた。
結果を見て、将軍がふうっと息をはく。
少し瞠目しただけで、なんてことないように平然としているマスタング大佐。
そんな彼を見て、将軍は少しあきれた。
「自分で言い出して負けてちゃ世話ない。賭けは私の勝ちだ」
「おっしゃるとおりですね。・・・・・・・賭けに乗ってくださって、感謝します」
そこで初めてロイは微笑み、言うが早いか、こめかみで銃をひいた。
かしゃん、と空砲の音がする。
あっけにとられた顔をした将軍。周囲の者がどよめく。
どこ吹く風で、目の前のマスタング大佐は涼しい顔で将軍をみつめている。
「さ、次ですよ。私はまだ、勝負を捨ててません」
「貴様・・・・正気か」
「お姫様を手に入れるためですから」
そうして、ゲームが続けられて・・・・
ロイが2回引き金を引いた後、将軍はついに負けた。
そして、物語が最初へ戻る。
「・・・・・ずいぶんと娘に執心な方だったのですね」
「周囲の見物人が、拳銃に細工をしてたと思ったようでね・・・彼の拳銃を寄越せと言った」
手にした一人が戯れに一発打った。瞬間、弾が天井を貫いて、周囲が更にどよめいた。
あと一回、ロイが負けていたら・・・・それは死んでいた、ということ。
「・・・・運が強いやつだ。娘をまかせてもいいかもしれん」
それに、――――――――――と、将軍は思う。
命をかけて望まれる。しかも、自分の愛した男から。
女としてこれ以上の幸せはないに違いない。
将軍は、暖炉の上に飾られたいくつもの写真立ての中の、家族の肖像を眺めた。
いつか近い未来に、新しい息子が加わるだろう写真の置き場を、そこに探しながら。



夏だから、という熱い理由でやっちゃいましたが、どうなんだ自分。後で後悔するのかな・・・
冬にはきっとこんな話は出てこなかったでしょうね。ほら、今年暑かったから(言い訳)
ちなみに、裏は、なるべく実体験を反映させないように気をつけました。恥ずかしいから(笑)
目隠しとか結ばれたこととか、そんな初体験て普通ないです。妄想だから幸せな話なんです、きっと。