いつもいつも本当に思う。



この人は、絶対に目が悪い。
そうでなければ趣味が悪い。



いつもの、うっとりした目で私を見つめる。
見つめ返す私の顔は、微妙に引きつっていないだろうか?
だって、あんまり現実的じゃなさすぎて、実感わかない・・・どころか気味悪い。



「可愛い顔して・・・本当に。キスしたい」



誰ですか!!可愛い顔ってダレデスカ!!?


そうキレたい気持ちを抑えて、「や」と一言だけ告げる。
いい年して、思い切り膨れっ面になるロイの表情の変化が、少し面白いと思った。



「どうして。キスしたい」

まるで駄々をこねるよう。
本当に、この人は私より年上なのかな?



「やだ」

プイ、と顔を背けると、彼はあきらめたように顔をしかめた。



「可愛い顔して・・・ずるいぞ」
「可愛い可愛いって、どこが可愛いの?趣味悪い!」



とうとう私はキレた。
自慢じゃないが、自分の容姿に自信を持ったことなんてない!
性格もこんなで・・・本当に、こんな女のどこがいいのー!?


断言できる。私より可愛い子は、この世の中に吐いて捨てるほどいる。
そしてこの人はモテルのだ。絶対に美人に言い寄られたりしてるはず。


なのに、ロイは偉そうにふんぞり返って、言い返してくる。


「スラリとした足も、締まったウエストも、もちろん顔も私の好みだ。
 私が裸にして実際のところを見て知ってるんだから間違いない」
「間違いないといわれても」


恋人らしい甘い台詞。優しい笑顔。
それに甘えられない私は、なんて可愛くない。
ふ、と笑うロイの顔は、恋で盲目になってしまった人間のもの。
やさしい顔。だけど、夢から覚めたら後悔するよ。



「・・・・そんなふうに、可愛い可愛いって言うの、あなただけだよ」



根負けして、優しさに甘える。
彼の、勝ち誇ったような笑顔。


その笑顔に、つい問いかけたくなる。


「いつまで、可愛いっていってくれる?」
「いつまで、とは・・・?」


怪訝そうな顔。質問の意図が分からないみたい。



「ずっと、年をとっても変わらずに可愛いって言ってくれるの?」


ああ、そんなことか。そういうみたいに破顔一笑。



「もちろん。おばあちゃんになってもね」



ひとりご満悦みたいに微笑んでいたのに、急に真面目な顔になって。
考え込むように頤に手をあてて渋い顔。


「しかし・・・・あれだな・・・・例外もあるか」
「例外?」



やっぱり、他の女性が綺麗だと思う日がくると、自覚してるのか。
そうおもったけど、彼は真面目な表情でこういった。


「あまりに変わり果ててしまうと、写真を見ながら『昔は可愛かった・・・』などと言っているかもしれんな・・・・」




爆笑。




「あのな!愛くるしい少女が中年になってものすごく太ったなんて良く聞くぞ?」




腹がよじれるほど笑ってしまった。
本気でそんなばかなことを言う彼がいとしくなる。
これが本気なら、いろんな趣味の人間を作ってくれる神様には感謝しないと。





そう思って、私は彼にキスをした。









コレはもともとストックされてた短編を、拍手用にアレンジしたものです。
名前変換、普通に一回もないという、ドリの意味なし小説でした(苦笑)
ちゃんとしたタイトルなかったので当てはめてみたのですが、なかなかはまってるような気がします。
音那サマはスゴイ。