「何読んでるんだよ?」


本を読んでる私に、横から声をかけてくる彼。
そういえば彼が本を読んでるところは見たことない。


「コレ」

本の表紙を見せる。
タイトルを口の中でつぶやいたハボックは、ふうん、と頷いた。


「面白いのか?」
「うん。まだ途中だけど」


本に集中しようとする私が、ふと顔を上げてハボックを見る。


「ねえ。姫初めって何?」


途端に体勢を崩すハボック。
寄りかかった戸棚がガタガタン、と派手に音を立てた。


「・・・・・・・・なあ。真面目に聞いてる?」
「真面目真面目。本に書いてあるんだけど、意味分からなくて」
「本の中に、そんなこと書いてあるのか?・・・どんな本だよ」


いつもは私に知らない言葉を聞くハボックが、私の知らない言葉を知ってる。
なんだか悔しくて、何が何でも聞き出そうと思った。



「話を読んでいけば分かるんじゃないのか?」
「答えてくれないの?」
「恥ずかしがれよ、少しは・・・」


恥ずかしい言葉なの?カワイイ感じがするのに・・・



「じゃあいいもん。ファルマン准尉に聞こうっと」
「こらまて!!!」


あせるハボックに、私がむくれる。


「・・・・わかったわよ。読んでけばいいんでしょ」
「そうそう」

ものすごく安堵したような彼。


「えーっと・・・・あ、なぁんだ。元旦にお餅食べて、翌日はご飯食べることだって」
「はあ!?そんなふうに書いてあるのか?違うだろ、それは」
「ん、書いてあるよ。・・・・なんで?他にも意味あるの?」



頭を抱えたハボックは、少し何か考えていたけど、やがて顔を上げた。


「よし。分かった」
「何が?」


ハボックが、迫ってくる。


「教えてやるよ。姫初めっていうのはさ・・・」


寄ってくる彼に押しつぶされるように倒されて、あわてて本に栞をはさむ。
なんだか意味がわからないままに流される。耳元でハボックがささやく。


それを聞いて顔が熱くなっても手遅れ。私は彼の腕の中。
秘め事初めの意味があることを、私は初めて知ったのだった。










姫初め・・・一応ネットで言葉の意味を調べました。ご飯の話はそこで入手。
秘め事初めの意味は、元旦くらい夫婦の営みは休めってことらしい。
そっか・・・するんじゃなくて休むんだ、元旦は・・